「介護AIは導入するとどんなメリットがあるの？」
「介護AIの活用の仕方がわからない…」
と、介護に携わる人であれば気になるのではないでしょうか。
介護AIを導入すれば職員の負担を軽減でき、業務の効率化を図れます。書類やケアプランの作成、利用者とのコミュニケーションなど、あらゆる業務が代行可能です。一人ひとりに寄り添った介護ができ、サービスの質の向上にもつながるでしょう。
本記事では、AIの活用例や導入のメリットデメリットについて詳しく解説します。介護AIのメリットや活用の仕方を知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
介護業界でAIの活用が求められる背景4つ
介護業界でAIの活用が求められる背景として、以下の4つが挙げられます。
- 人手不足である
- 身体への負担がある
- 利用者とのコミュニケーションが負担である
- 送迎業務の負担がある
詳しく見ていきましょう。
人手不足である
介護業界は人手不足が深刻で、一人当たりの仕事量が許容範囲を超え、休憩や休暇が取れていないのが現状です。24時間365日に渡る業務であることから、夜間や休日も含めて対応する必要があります。
公益財団法人介護労働センターによると、介護事業所全体の人材不足は令和2年から増加傾向にあり、令和4年度は66.3%が人材不足と回答しています。
引用：公益財団法人介護労働安定センター「令和４年度介護労働実態調査結果の概要について」
今後、高齢化社会による需要の増加が見込まれることから、放置しておくと今後ますます深刻な事態になるでしょう。
一方で、近年のAI技術の進歩により介護問題に対する解決策が見つかりつつあるという、ポジティブな見通しもあります。介護ロボットやAIを活用すれば介護職員をサポートでき、人手不足の緩和が期待されています。
身体への負担がある
介護業務は肉体的にも精神的にも、大きな負担を伴います。とくに、高齢者の身体介助は重労働であり、長時間の作業によって介護職員の健康を害する恐れがあります。具体的には、車椅子からベッドへの移乗支援は腰への負荷が大きい作業であるため、腰痛の原因になりかねません。
介護現場にAIが導入されれば全体の業務が効率化されるので、身体への負担の軽減につながります。また、重労働の面では直接的に解決につながるのは介護ロボットですが、AIが搭載されれば従事者が操作しなくても自動で進めてくれるでしょう。
利用者とのコミュニケーションが負担である
介護業務は、利用者とのコミュニケーションを必要とします。コミュニケーションは時間とエネルギーを要し、さらには感情的なストレスをもたらすことがあります。
ときには、利用者からの言葉に傷ついたり、家族から無理な要求をされたりすることもあるでしょう。とくに、認知症の高齢者とのコミュニケーションは非常に困難です。
他のサービス業に比べ密接に関わる機会が多い一方で、近年ではコミュニケーションを取れるAIシステムも開発されつつあります。AIが被介護者の話し相手になることで、介護従事者の精神的な負担の軽減につながるでしょう。
送迎業務の負担がある
利用者の送迎業務も、介護サービスの業務のひとつです。介護職員にとって時間と労力を要する作業であり、他の介護業務が滞る可能性があります。
利用者の送迎計画はベテランスタッフでないと対応が難しいことから、特定のスタッフに負担がいきがちです。しかし、自動運転技術の進歩により、AIが送迎業務を担うことが可能になりつつあります。
送迎業務をAIが担ってくれることで、その時間を直接的な介護業務に投下できるようになります。
介護AIを活用するメリット3つ
介護AIの活用によるメリットは、以下の3つです。
- 身体への負担が軽減される
- 書類作成の効率化ができる
- 介護サービスの質の向上を図れる
介護業務は身体的にも精神的にも、非常に大きな負担がかかるものです。ぜひ、参考にしてみてください。
身体への負担が軽減される
AIを導入すれば、介護職員の肉体的・精神的負担を軽減できる可能性があります。介護は肉体的な労働が大きな部分を占める仕事であり、重い荷物を運んだり利用者を移動させたりします。
被介護者を抱きかかえることもあるため、過重労働により体を壊すこともあるでしょう。しかし、AIを活用すれば肉体労働の軽減につなげられます。
見守りAIを使用すれば、利用者がベッドから落ちそうなときにアラートで知らせてくれるので、夜間の巡回頻度を減らせます。また、AIを搭載したロボットを使用すれば、介護従事者が対応することなく利用者の移動が可能です。
AIのサポートにより介護職員の身体への負担が減少し、万全な状態で仕事に取り組めるようになります。
書類作成の効率化ができる
AIを導入すれば介護記録やケアプランの作成が可能になり、効率化を図れます。
介護の現場では、業務の中で多くの書類を作成しなければいけません。作成に要する時間は、介護職員の業務で大きなウェイトを占め、長時間残業の要因のひとつとされています。
しかし、AIを導入すれば書類作成を効率化でき、業務全体の負担軽減につながります。AIによる音声認識技術を使えば、口頭で報告内容を述べるだけで内容がテキスト化され、報告書を自動で作成可能です。
ITツールが苦手なスタッフでも扱えるように設計されているので、短時間で利用者に合わせたケアプランが作成できます。書類作成に費やす時間を大幅に削減すれば、より多くの時間を利用者のケアに充てられるようになるため、介護の質を向上させる重要な要素となるでしょう。
介護サービスの質の向上を図れる
AIの導入によりスタッフの業務が軽減され、より多くの時間を利用者のケアに専念できます。AIのデータ分析により、利用者一人ひとりの状況を詳細に把握し、個別化されたケアプランが作成可能です。
AI導入で利用者の生活の質や家族の満足度が高まり、サービスの質の向上へとつながるでしょう。
介護AIを活用するデメリット3つ
AIが持つ高度な分析能力は介護の質を向上させ、労働力の不足を補う可能性を秘めています。一方で、介護AIの活用には3つのデメリットが存在します。
- 高額なコストがかかる
- 従事者が扱えるようになる必要がある
- 介護AIの症例が少ない
デメリットを理解したうえで、AIを導入することが大切です。
高額なコストがかかる
介護向けAIを導入するとなると、開発や運用に高額な費用が発生します。AI開発は特定の技術を理解し、実現するための専門知識を持つエンジニアが必要で、人件費に多大なコストがかかるでしょう。
さらに、AIを適切に動かし続けるためにはAIのアップデートやシステムの保守、故障時の対応など、定期的なメンテナンスが必要です。また、導入後も継続的なコストが発生します。
とくに初期導入費用は高く、小規模な介護施設にとっては大きな負担になるでしょう。
とはいえ、導入して効果を出せれば業務を効率よく進められるので、人件費の削減につながる可能性があります。導入時のコストと将来的に削減できる可能性がある人件費を比較したうえで、検討することが大切です。
従事者が扱えるようになる必要がある
AIを介護の現場で活用するためには、介護職員が操作方法を習得する必要があることも、導入にあたって大きなハードルのひとつです。扱えるようになるために、勉強が必須と言えるでしょう。
AIは便利なツールですが、使いこなすための研修や教育に時間と労力がかかります。AIの操作自体は比較的簡単でも、理解して、適切なアクションを取るための知識やスキルは必須です。
多忙な中で新たに学習しなければならない為、現場の負担となりかねません。人によってはAI使用への壁があるため、受け入れてもらうために将来的に負担が小さくなる旨を丁寧に説明することが大切です。
介護AIの症例が少ない
介護AIの症例はまだまだ少なく、効果や効率性について十分なデータが存在しないのが現状です。
AIの導入効果を評価するには、多数の導入事例と結果を比較検討することが一般的です。しかし介護AIの場合、大量の症例データが存在しないため、AIの効果を評価するのが難しく、導入するのをためう事業者や介護従事者は少なくありません。
AIによる症例を少しでも増やすためには、AI技術の開発者と介護業界が協力する必要があります。導入事例を増やすためにより低コストで高品質なAIシステムを開発し、質の高いデータを取るためにスタッフの研修や教育を充実させなければなりません。
そして、介護AIの使用例の積極的な公開と共有ができれば、導入する施設はさらに広まっていくことでしょう。AI技術の普及とともに自社の業務、ひいては業界全体の問題点の改善が期待されます。
介護AIはより多くの介護現場で活用され、その効果が広く認識されることが課題と言えるでしょう。
介護業界でのAIの活用事例5選
介護業界ではサービスの質や業務の効率化を図るために、さまざまなAI技術が活用されています。とくに注目すべきなのが、以下5つの事例です。
- 介護記録を作成する
- 動作分析を元に運動プログラムのプランを立てる
- 利用者とコミュニケーションをとる
- ケアプランの作成ができる
- 送迎ルートを作成できる
さまざまな活用例があるので、詳しく紹介していきます。
介護記録を作成する
被介護者の現況を他の職員や家族に共有するための介護記録の作成は、手作業で行うと時間と労力を要します。しかし、AIを活用すれば介護従事者は最小限の労力で、詳細な介護記録を作成できます。
- センサーやカメラで記録した利用者の動作や状態を元に、自動で記録を作成
- 介護従事者が口頭で報告した内容を、AIの音声認識により自動でテキスト化 など
介護記録の作成に関するあらゆる作業をAIが自動で対応してくれるので、所要時間の大幅な削減が期待できるでしょう。
動作分析を元に運動プログラムのプランを立てる
利用者の動きを分析し、データに基づいてパーソナライズされた運動プログラムも作成可能です。動画撮影をすれば、誰でも適切に利用者の分析ができます。
歩行分析を行うAIは利用者の身体機能を短時間で、かつ簡易的に把握が可能です。歩行パターンを詳細に分析し、転倒リスクを予測します。運動プログラムは利用者の健康状態を改善し、日常生活の質の向上や介護施設の事故率の低減にもつながります。
AIを導入すれば利用者の動作分析を元に、運動プログラムのプランを立て、利用者の自立支援に役立つでしょう。
利用者とコミュニケーションをとる
AIはコミュニケーションツールとして使用でき、利用者との直接のやりとりや利用者同士の会話のきっかけ作りに活用できます。とくに、高齢者とのコミュニケーションがとれるAIロボットは介護施設での一員として、利用者との話し相手にもなりえます。
コミュニケーションが取れるAIロボットに搭載されている機能は、以下のとおりです。
- 利用者の話を聞く
- 質問に答える
- 音楽を演奏する など
ロボットとコミュニケーションが取れることで、利用者は孤独感なく日常生活を楽しめます。現場のスタッフ以外でも、会話を楽しむ環境づくりが可能です。
AIにより介護職員の負担が軽減され、他の重要な業務に集中できます。
ケアプランの作成ができる
ケアマネージャーが行う業務の中でとくに時間がかかるケアプランの作成も、AIによる対応が可能です。
AIは過去の介護記録や利用者の健康状態を分析し、データをもとに最適なケアプランを提案できます。AIの支援があれば利用者のフォローアップが丁寧にできるため、正確にケアプランの作成が可能です。
AIによって作成されたケアプランは、介護者が個々の利用者のニーズをより深く理解することを可能にし、より適切なケアを提供するための指針となるでしょう。
送迎ルートを作成できる
AIは送迎ルートの作成にも活用できます。大規模な施設だと大人数の送迎が必要で、効率よく巡回できる送迎ルートを決めるのは時間がかかります。しかし、AIを活用すればリアルタイムの交通情報を元に自動で最適なルートを提案してくれるため、作成の際にかかる負担は軽減されるでしょう。
介護職員はルート作成時間を削減でき、利用者を無駄なストレスなく安全かつ効率的に目的地に送り届けるのが可能となります。AI導入は、介護施設やデイサービスなどでの送迎作業のサポートとして最適です。
介護業界でAIを活用することによる将来の展望
介護現場でのAI活用にはさまざまなメリットがあることから、今後はさらに導入が進むと考えられます。
2024年現在、自動運転により無人での送迎を可能にする自動車や、高齢者の介助や支援ができるロボット開発が進んでいます。AIの進化により、人材不足解消や質の高い介護サービスが可能になると予想されるでしょう。
とくに、介護業界は人手不足が大きな問題となっている職業である以上、何らかの形で早急に対策を取らなければなりません。AIツールは人手不足解消につながる可能性があるテクノロジーです。
革新的な変化を促進し、高齢者の生活の質を向上させ、介護職員の労働環境の改善にも寄与することが期待されます。
まとめ｜介護AIの性能を生かせば、現場でうまく活用できる
介護業界でのAI活用はさまざまな問題を解決し、介護職員の負担を軽減する可能性を秘めています。AIは24時間365日稼働するため、夜間や休日の介護業務にも問題なく対応できます。
AIを活用すれば介護職員の業務効率化を図れるので労働環境の改善につながり、利用者のサービスの質を向上させる可能性が高まります。これからの時代に向けてAI技術の進歩を活用し、さらに高品質な介護サービスを提供できるようにAIを活用していきましょう。
当社AGIサロンでは、日本がAGI（Artificial General Intelligence、汎用人工知能）と共にに日本経済の再興を目指すため、AIやAGIについての世界中の最新動向を毎日発信しています。これからAIとの共存が必須となる世の中において必要な知見を身につけ、時代の変化に取り残されないように、AGIと共に、一歩先へ進みましょう！
コメント