「2045年にシンギュラリティが来るって本当?」
「シンギュラリティって一体何?」
シンギュラリティに関心がある人の中には、このような疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。シンギュラリティとは、人工知能(AI)が人間の知能を超える転換点を指す概念のことです。AIの急速な進化により、2045年ごろにはシンギュラリティが訪れると予測されています。
本記事では、シンギュラリティの意味や到来時期に関する根拠と、社会や人間に与える影響について解説します。シンギュラリティについて理解を深めたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
2045年に起こるとされているシンギュラリティとは?
シンギュラリティとは、人工知能(AI)が人間の知能を超える転換点を指す概念です。AIの性能が飛躍的に向上し、人間の能力を凌駕するようになるタイミングを表しています。
シンギュラリティが訪れると社会や経済、文化など多くの分野に大きな変革がもたらされると考えられています。例えば、従来は人間が行っていた仕事をAIがすべて代替するようになったり、多くの分野で社会問題が解決したりと影響はさまざまです。
シンギュラリティが起こる時期については諸説ありますが、2045年ごろに訪れるとの予測から「2045年問題」とも呼ばれています。
2045年問題が起こると言われている2つの根拠
2045年問題が起こると言われている2つの根拠として、以下が挙げられます。
- ムーアの法則
- 収穫加速の法則
それぞれどのような根拠なのか、詳しく見ていきましょう。
ムーアの法則
ムーアの法則とは、一定の大きさの半導体集積回路に搭載されるトランジスタの数が約18ヶ月ごとに2倍になるという経験則です。
トランジスタ数の増加は、コンピューターの演算処理能力の向上に直結します。ムーアの法則に従って半導体の高集積化が加速度的に進めば、コンピューターの性能が指数関数的に向上し続けることになります。
AIの基盤となるコンピューターの性能が飛躍的に高まることで、人間の知能を超えるシンギュラリティの到来がより確実となるでしょう。
収穫加速の法則
収穫加速の法則とは、技術の発展によって次の技術革新までの期間が短くなり、変化のスピードが加速していくという考え方です。新しい技術が生まれるたびに、その技術を応用した次の発明や発見までの時間が短縮されていきます。
例えば、コンピューターの進化によって科学の発展スピードが速まり、多くの分野において技術革新を生み出すサイクルが生まれたことが例として挙げられるでしょう。AIの発達が進めば、同様の技術革新が予想されます。
ムーアの法則と収穫加速の法則が相乗効果を生み出し、シンギュラリティへの到来を加速させていると言えるでしょう。
2045年にシンギュラリティは来る?著名人の意見を紹介
2045年にシンギュラリティが来るかどうかについては、さまざまな著名人が言及しています。ここでは、以下2人の著名人の意見を紹介します。
- レイ・カーツワイル氏
- ヴァーナー・ヴィンジ氏
それぞれの著名時の意見がどのようなものなのか、具体的な内容を見ていきましょう。
レイ・カーツワイル氏の意見
「AGI(Artificial General Intelligence、汎用人工知能)とASI(Artificial Super Intelligence、人工超知能)がシンギュラリティの起因である」と主張しているのは、AI研究の第一人者とされているレイ・カーツワイル氏です。
根拠としては、ムーアの法則に基づき「2045年には人間の脳の100億倍の演算能力を持つコンピューターが登場する」との旨です。また、技術進歩のスピードが加速度的に速くなるという収穫加速の法則も、シンギュラリティ到来の根拠として挙げられています。
カーツワイル氏はシンギュラリティ到来後、人間と機械それぞれの知性が融合し、人類は「ポスト・ヒューマン」へと進化すると予想しており、新たな未来像を考えています。2045年説は、シンギュラリティに関する議論の中で最も知られた説となっており、「2045年問題」とも呼ばれて多くの人に認知されるようになりました。
ヴァーナー・ヴィンジ氏の意見
「シンギュラリティ」という概念を広めたとされるヴァーナー・ヴィンジ氏は1993年の論文で「遅くとも2030年までに人間の知性を超える人工知能が誕生する」と言った旨を主張しました。ヴィンジ氏は人間以上のAIを実現する過程には多くの課題が山積しており、正確な到来時期の予測は困難だと指摘しています。
ヴィンジ氏が描くシンギュラリティ到来後の世界は、必ずしも明るい未来ではありません。「人類とは関係なく人工知能自体が指数関数的な成長する」「人類は人工知能を認識すらできなくなる」といった旨の意見を述べています。
カーツワイル氏の意見と比べると、どちらかというと悲観的な意見と言えるでしょう。
2045年のシンギュラリティが与える影響を3つの観点から解説
2045年のシンギュラリティが与える影響について、以下3つの観点で解説します。
- 多くの分野の社会問題が解決する
- 既存の仕事が消滅して新しい仕事が誕生する
- 臓器を人工物で代替できてより寿命を延ばせる
私たちの社会に大きく影響を及ぼす部分もあるので、ひとつずつチェックしていきましょう。
1. 多くの分野の社会問題が解決する
シンギュラリティの到来により、AIの力を活用して多くの社会問題の解決が期待できます。一例として、3つの業界で起こりうる変化を以下の表にまとめてみました。
業界 | 内容 |
---|---|
政治 | ・ビッグデータ分析で、国民の意見や要望をリアルタイムに把握 ・法律や規制の整合性をチェックし、矛盾や不備を自動的に修正 |
教育 | ・各生徒の学習状況を細かく分析し、最適化された学習プログラムを提供 ・高度な学習コンテンツの自動生成により、教育の質が向上 |
医療 | ・膨大な医療データの解析により、疾病の早期発見と予防が実現 ・手術や介護の自動化による、人的ミスの減少 |
上記はあくまでも一例で、他の業界においてもAIの力を活用して多くの問題が改善されるでしょう。
2. 既存の仕事が消滅して新しい仕事が誕生する
シンギュラリティは労働市場に大きな変化をもたらし、多くの職業がAIによって代替されます。事務作業や単純労働など、定型的な仕事の多くがAIやロボットによって自動化され、これらの職種で大量の失業者が発生する可能性は否めません。
一方で、AIと協働して新たな価値を生み出す職種が登場することも予想されます。
AIのサポートを得ながらプログラムを作成するAIエンジニア、生成AIでイラストや動画などを作成するAIイラストレーターなどさまざまです。これらはあくまでも一例で、2024年時点で予想されていない新たな職種が多く登場するでしょう。
3. 臓器を人工物で代替できてより寿命を延ばせる
シンギュラリティは人間の身体的・認知的な能力を拡張し、人間とテクノロジーの融合が加速すると予測されています。人工臓器や義肢の高度化により、病気や怪我で失った身体機能を人工物で代替することが実現できるかもしれません。
2024年現在でも人工関節や人工心臓など、一部の臓器は人工物で代用可能になっています。シンギュラリティが到来し、人工知能のレベルが飛躍的に発達すれば人間の脳や体の仕組みが解明され、臓器を人工物で置き換えられるようになるでしょう。
2045年のシンギュラリティが起きても役立つスキル
シンギュラリティが起きると既存の仕事が消滅し、失業する人が溢れる世界線も考えられます。そのような悲観的な未来が来ることはあっても、シンギュラリティ後であっても役立つスキルがあることも押さえておくべきです。
シンギュラリティ後に役立つスキルとして、以下の3つが挙げられます。
- コミュニケーション能力
- ディレクションスキル
- 創造力
具体的にどのようなスキルなのか、ひとつずつ詳しく解説します。
1. コミュニケーション能力
シンギュラリティ時代に不可欠なのが、AIとのコミュニケーション能力です。AIを適切に活用し、その能力を最大限に引き出すには、人間がAIに的確な指示を与える必要があります。
ChatGPTなどの生成AIは便利ですが、具体的に命令を下さない限り、自分たちの望むようなパフォーマンスを発揮してくれません。自分がAIにどう動いてもらいたいのか、具体的に言語化する能力が今後より求められます。
同時に、人間同士のコミュニケーションもますます重要になります。AIによって自動化が進む中、人間にしかできない複雑なコミュニケーションや、感情の機微を捉えた対人スキルが求められるでしょう。
2. ディレクションスキル
AIを活用して成果を出すには、優れたディレクションスキルが欠かせません。AIに適切なタスクを割り当て、その結果を評価・改善する能力が求められます。
また、AIに任せるべき作業と、人間が行うべき作業を見極める判断力も重要です。AIが生成した成果物に対して、人間ならではの創造性や感性を加えることで、より価値の高いアウトプットを生み出せます。
人間とAIが協働する時代に、優れたディレクターは必要不可欠な存在となるでしょう。
3. 創造力
シンギュラリティ以後に最も価値を発揮するのが、人間ならではの創造力です。AIは既存のデータから新しいものを生み出すのは得意な一方で、柔軟性やオリジナリティに欠けています。
一方の人間は自らの柔軟な想像力を駆使して、新しいアイデアや価値を創造できます。AIにはない独創的な発想力を用いて、今後も新たなビジネスやエンターテイメントを創出できるでしょう
AIがいかに発達しようと、人間の持つ創造性が生み出す価値が失われることは決してありません。
2045年のシンギュラリティ後に需要が高まる可能性がある仕事
2045年のシンギュラリティ後に需要が高まる可能性がある仕事として、以下の2つが挙げられます。
- データサイエンティスト
- データエンジニア
それぞれがどのような職種なのか、見ていきましょう。
1. データサイエンティスト
シンギュラリティ後の社会では、膨大なデータを活用して意思決定を行うことが求められます。そのため、データサイエンティストの需要がより高まるでしょう。
データサイエンティストは大量のデータから有用な情報を引き出し、ビジネスや社会の課題解決に役立てる専門家です。機械学習やディープラーニングなどのAI技術を駆使し、データの分析・可視化・予測モデルの構築などを行います。
シンギュラリティ時代のデータサイエンティストには高度なプログラミングスキルに加え、ドメイン知識や問題解決能力が求められます。また、分析結果を分かりやすく伝えるコミュニケーション力も重要です。
2. データエンジニア
データエンジニアは、データサイエンティストが分析しやすいようにデータを収集・加工・管理する専門家です。膨大なデータを効率的に処理するためのインフラ構築・運用などを担当します。シンギュラリティ後はIoTやセンサーから収集される大量のデータを扱う必要があるため、データエンジニアの役割がより重要になります。
データエンジニアにはビッグデータ処理に関する深い知識と、実現するためのプログラミングスキルが求められます。データセキュリティやプライバシー保護に関する知識も求められるため、データエンジニアの職に就くためには各方面のスキルアップが必要となるでしょう。
2045年のシンギュラリティに関するFAQ2選
シンギュラリティに関するよくある質問をピックアップしたので、ひとつずつ回答していきます。
- シンギュラリティが早めに到来する可能性はあるの?
- 2045年にシンギュラリティが来ないこともあり得る?
多くの人が悩みやすいポイントなので、チェックしてみましょう。
Q. シンギュラリティが早めに到来する可能性はあるの?
シンギュラリティの到来時期については諸説ありますが、技術の急速な進歩によって2045年よりも早まる可能性も指摘されています。AIの発展スピードが予想以上に速く、ムーアの法則や収穫加速の法則が示すペースを上回れば、シンギュラリティの到来が前倒しされるかもしれません。
とくに、量子コンピューターの実用化や脳とコンピューターをつなぐBMI技術の進歩などで、シンギュラリティへの道のりは大幅に短縮されます。また、AIの研究開発に対する投資の増加や、規制緩和などの社会的な後押しもシンギュラリティが早期に実現する要因となりうるでしょう。
Q. 2045年にシンギュラリティが来ないこともあり得る?
シンギュラリティの到来には技術的な課題だけでなく、社会的・倫理的な障壁も立ちはだかります。これらの障壁が予想以上に大きければ、2045年を過ぎてもシンギュラリティは実現しないかもしれません。
実際に、AIに関して解決すべき社会的課題は以下のように数多くあります。
- AIの安全性
- 信頼性の確保
- プライバシーの保護
- AIによる失業への対策 など
さらに、AIの開発競争が激化する中で各国の規制の違いや、技術覇権をめぐる対立が生じれば、シンギュラリティへの歩みが停滞する恐れもあります。シンギュラリティの到来には技術的な進歩だけでなく、社会全体の変革と協調が必要不可欠です。
2045年のシンギュラリティに備えて代替されないスキルを身に付けることが大切
シンギュラリティが到来すれば社会や経済、文化などさまざまな分野に大きな変革がもたらされると予測されています。AIの急速な進化により、私たちの生活や仕事のあり方は大きく変わるでしょう。
シンギュラリティがもたらす未来をただ待つだけではなく、今から学んで新たな時代に対する準備を進めることが重要です。
当社AGIサロンでは、日本がAGIと共に日本経済の再興を目指すため、AIやAGIについての世界中の最新動向を毎日発信しています。これからAIとの共存が必須となる世の中において必要な知見を身につけ、時代の変化に取り残されないように、AGIと共に一歩先へ進みましょう!
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